知っていますか? はんこの印材の特徴について

知っていますか? はんこの印材の特徴について

はんこの材料となる印材には石や木のほか、牙や角といったさまざまなものが使われています。特に人気があり、高級な印材を紹介します。
2018年12月18日作成

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はんこの材料となる印材には石や木のほか、牙や角といったさまざまなものが使われています。特に人気があり、高級な印材を紹介します。
2018年12月18日作成

黒光りした美しさがある「黒水牛」

出典元:https://www.shutterstock.com

はんこの材料、印材の種類はたくさんあります。

はんこが初めて使われたのはメソポタミアで、紀元前5000年頃と言われています。
上質な石や木材が主に用いられていましたが、年代とともに印材の種類も増えていき、現在ではチタンといった金属製のものもあります。

昔から象牙や水牛の角などが使われていて、サイの角、マンモスの牙なども用いられてきました。
タイ、ネパールやベトナムといった東南アジアに生息する水牛の角が主に用いられています。
中でも黒水牛は黒光りした美しさがあると好まれています。

しかし、角は材質としては不均質。そのほとんどが印材には適したものではなく、先端のごくわずかな部分だけを印材として使っているため、希少性が高くなっています。

上質な黒水牛のはんこの頭には、頭に針で突いたような点があります。これが芯の通った中心の部分、いわゆる芯持ち材のしるしとなっています。芯がある印材は、ひび割れにくいという特性がありますが、逆に芯がないものは割れやすく耐久性に欠けます。

また、保管にも注意が必要です。
水牛の角は温度や湿度から、ゆがんだり変形したりします。そのため、きちんとした入れ物に入れて、しっかりと保管しなければいけません。梅雨時や保管が悪いと湿気を吸って腐ったり、カビてしまうこともあります。

はんこを使った後は、しっかりとよく拭って清潔にしたあと、乾燥した湿気のないところに保管する必要があります。

美しい木目が特徴の「薩摩本柘」

出典元:https://www.shutterstock.com

木製のはんこは最も古い歴史をもつ印材のひとつです。
四季に恵まれた日本では昔から、木は生活に密着し、欠かせないものでした。そのため、木の文化が育まれてきたのです。神が宿る御神木を敬ったり、木を使ってはんこを作ったり…と、木に対する特別な感情をさまざまな形で昔から表してきました。

梅、桜、黒檀のほか、杉やヒノキといった木もよく印材として用いられています。

菅原道真と梅は関係が深く「梅あらば しずがふせやの もとまでも 我立ち寄らん悪魔しりぞけ」と読んだことから、梅は魔除けとしての意味合いも含んでいるといわれています。

しかし、何と言っても木製の印材といえば、「柘植(つげ)」といわれるほど、柘植ははんこの代名詞。
理由は柘植の木は掘りやすく、その上、比較的安価に手に入るからです。

柘植の中でも高級といわれているのが、磨くと光沢の現れる「薩摩本柘」です。

薩摩本柘は薩摩である鹿児島県産のものです。目が詰まっているため、線維の密度が高く、磨くと光沢が現れます。また、美しい木目が特徴となっています。

木製の印材は比較的軟らかいため、印面が強く抑えられると、一部がくぼんだり、変形したりするため、保管時は注意が必要です。

また、朱肉の油を長い間吸っていると、だんだん強くなるのも特徴ですが、使わずに置いておくとカビたり、虫に食われてしまうため、ときどき取り出して、乾いた布でよく拭くといいでしょう。

朱肉が印面に詰まりやすいので、使ったままにしておくと文字が太くなったりすることがあるので、使う度によく拭くことも大事です。

高級感や風格が漂う「牛角」

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牛角は色や模様で種類分けがされています。
乳白色に近いものから褐色を帯びたものなどバリエーションが豊富です。

牛角の品質は、どこの部分を使うかによって異なってきて、黒水牛と同様、芯の部分が最も高級とされています。
また、白牛角(明角)が最も貴重で、透明度の高いものほどよいとされています。
黒牛角は質が細かく潤いのあるものが最上級。

牛角は適度な硬さがあり、材質が緻密であるため、掘りやすく、また、ひび割れにも強いのではんこには最適です。捺印したときにもくっきりとした印象があり、実用性もばつぐんです。

角などの動物性印材は、金属や石に比べて、保存性が悪く、温度や湿度の影響を受けやすいので、保存には気をつける必要があります。

美しく希少価値の高い「象牙」

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象牙のはんこは色も美しく、細かい細工がかんたんにできるため、昔から重宝されてきました。

象牙は、「血牙」と「白牙」の二種類に分けられます。
「血牙」は象が死んだ後すぐ取ったもので、光沢があるのが特徴です。「白牙」は象が死んだ後、野山の中で日に照らされたり雨に洗われたりして、油脂がなくなり乾燥して白くなったもので、血牙のように赤みを帯びた光沢がないのが特徴です。
また、地中に埋もれて酸化して、コーヒーのような色合いになった象牙を「龍骨」と呼んでいます。

若い象の牙は弾力性があって加工しやすく、年寄りの象や、死んでしまったあと、しばらくして採取した象牙は硬くて掘りにくいのが特徴です。

そのため、象牙の産地では、若い象を殺して象牙を採取することとなり、象の個体数が急激に減少する原因となりました。そのため、1990年にワシントン条約により象牙取引が原則禁止となったのです。

象牙は長い間経つと硬く、もろくなってしまうため、転がして落としてしまうとかんたんに欠けてしまいます。使ったらよく拭いて、保管することが大事です。象牙は虫に弱いので、虫除けを入れておくと安心です。


印材により、見た目や捺したときの感じもまったく違ってきます。もちろん、値段も。印材の特徴をよく知り、材質選びをすることが大切です。

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