どうして日本は、何をするのにもはんこがいるのだろう。
印鑑を忘れてしまったときなど、こう思った経験はありませんか?
・名前を書いたうえに、はんこを押すなんてめんどくさい
・責任を負わされているような気分になる
なんて声もよく耳にします。
特に若者の間で疑問に持つ人は多いようです。
海外では、そもそも印鑑は存在するのでしょうか。
外国人の方がはんこを押している姿はイメージしづらいです。
今回は日本のはんこ事情を振り返りながら、海外の印鑑制度をご紹介します。
日本でのはんこ事情
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日本でははんこを使う機会がとても多いです。
日常的に使われています。人生でもつ機会のある印鑑の本数は5本と言われています。
・実印 土地購入、車購入、ローン契約などに必要。
・銀行印 銀行口座の開設、お金の引き出しに必要。
・認印 履歴書、婚姻届、免許の更新のときに必要。
認印は、その他にも郵便物の受け取り、会社の業務担当をあらわすときにも使われます。
必要頻度が高いときには、朱肉いらずのシャチハタが使われます。
また人生の門出のお祝いにも、印鑑を贈るならわしがあります。
出産、入学、成人のお祝いに、はんこをもらった経験は誰でも一度ならあると思います。
しかし、認印はともかくとして、実印銀行印を使う機会は数少ないです。
「必要ないから持ってない」という方も多いのではないでしょうか。
実印一本の相場は5,000円〜と少しお高いのが難点です。
では、ここから海外のはんこの事情についてご紹介します。
欧米ではどうなの?
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アメリカ・ヨーロッパにおいて、はんこを使うことはほぼありません。
はんこに近いものが、国を表す「しるし」(西洋名:グレイトシール)です。
これは、役所が管理しています。アメリカの、翼を広げたワシのマークをみたことはありませんか?あのマークがアメリカ合衆国の国章(こくしょう)になります。
一般の人が使う事はありません。
はんこ文化が欧米に伝わらなかった理由には、様々ないわれがあります。
一番は「何かを押し付けて記録をする概念がヨーロッパに存在しなかった」ことでしょう。
事実、木版画である浮世絵に対して、画家のゴッホはその技術にいたく感銘を受けました。
あるのは、手紙の封書に使われるシーリングスタンプぐらいです。
では一般人が重要な契約をするときはどうしているのでしょうか。
契約書に名前を書くときには、本人であることをあらわす必要があります。
でないと、誰でも簡単に他人のフリが出来てしまいますね。
日本では「印鑑登録された印鑑」を押す事で本人確認ができます。
アメリカではノータリー・リパブリックという役職の人が存在します。
重要な契約の際に付きそう、第三者の立場の公証人です。
その公証人が、本人であることを認めるスタンプを押してくれます。
公証人は、会社の法務部、郵便局や銀行などにいるので、こちらから出向いて立ち会ってもらいます。
そう考えると印鑑は第三者をたてる必要がないので、便利に思えますね。
日本に近いアジアでは?
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そもそもはんこの文化は中国から日本に伝わりました。
ですが、中国では印鑑制度は存在していません。欧米と同様に契約はサインですませます。
今では印鑑は中国のお土産として人気があります。お花や動物のマークの入った可愛い印鑑がたくさんあるそうです。
1914年に日本から登録制度を導入したのが韓国です。
ですが比較的画数のすくないハングル文字は、偽造問題が絶えませんでした。
100年あまり続きましたが、2009〜14年の間に印鑑制度は廃止されました。
いまでは電子認証を取り入れているそうです。
韓国と同じく台湾も1906年に印鑑制度を日本から導入しました。
そして現在もその制度は残っています。
名字だけを彫るのが一般的であるの日本に対して、台湾ではフルネームを彫ります。
なぜかというと台湾では夫婦別姓がほとんどだからです。
はんこの形も異なります。円柱型ではなく、会社で使うような角印が多いです。
日本と台湾だけが今でもはんこを日常的に使うのですね。
はんこ文化の国、日本
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はんこ文化は度々海外から非難されます。
「印鑑をなくしてしまったら意味がない、偽造されやすいなんて不要だ」などと言われます。
はんこの材としてつかう、象牙(ゾウゲ)も、動物愛護団体から批判の声があります。象牙の密猟問題もあとを絶えません。
またはんこではなく、電子認証も日々増えています。
羽田空港では、2016年に国内初の顔認証ゲートを導入しました。
ヨーロッパでは既に使われているこのゲート。外国人客の増加とともに、入国を円滑にするためです。
しかし、電子認証はまだすべての人に対応しているとは言えません。指紋認証を例に挙げると、生まれつき手がない人も存在するのです。
ひとつ明らかになるのは、日本のセキュリティ技術の高さです。
銀行の印鑑照合システムも、見分ける技術が日々向上しています。
日本は真面目すぎるといわれますが、良くいえばなにごとも厳重であるのです。
はんこ文化はそう簡単になくなることはないでしょう。
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