正しく使って長持ち! 朱肉とスタンプの違いについて

正しく使って長持ち! 朱肉とスタンプの違いについて

朱肉ははんこ用、スタンプ台はゴム印用。間違った使い方ははんこやシヤチハタを傷めるだけです。正しく使うようにしましょう。
2018年12月18日作成

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朱肉ははんこ用、スタンプ台はゴム印用。間違った使い方ははんこやシヤチハタを傷めるだけです。正しく使うようにしましょう。
2018年12月18日作成

そもそも朱肉とは?

出典元:https://www.shutterstock.com

朱肉は、はんこを捺すときに欠かせないものです。
朱色のものが多いため、朱肉と呼ばれるようになりました。
じつは原料の製造方法の違いにより、赤、紅のほか黄色に近い色もあります。

朱肉は中国から仏教とともに奈良時代あたりに入ってきたもので、中国では印泥(いんでい)と呼ばれています。
もともと「朱」は、古代から神社の鳥居などに使われている高級な赤色顔料でした。

この赤色顔料には水銀を含む鉱物から作られているもの、赤鉄鉱や褐鉄鉱の鉄鉱物から作られる「ベンガラ」といったものがあります。中でも水銀を原料にしたものは、色が上品で、落ち着きがあって美しく、長時間経っても変色しない高貴な色として知られていました。

それに油(ヒマシ油、白蝋、松脂等)を加えたものが朱肉です。

さすがに今では猛毒の水銀は含まれていませんが、画材店で手に入る朱などを使用しています。

これが「練り朱肉」と呼ばれているもので、もうひとつが「スポンジ朱肉」です。
朱肉にはこの二種類があります。

「練り朱肉」を使うとはんこがくっきりはっきりと捺せます。しかし、乾くまでにかなりの時間がかかります。その上、しばらく使わなかったり、温度差に弱く、固くかちかちになったり、パサパサしたりと管理が難しいのが難点です。

一方、「スポンジ朱肉」はすぐ乾くので便利です。しかし、色合いは練りタイプのものと比べると深みがなかったり、時間が経過すると色あせてしまったりします。

しかし、「スポンジ朱肉」のほうがメンテナンスなども含めて練りタイプよりも格段に使いやすいため、今では生産量のほとんどが「スポンジ朱肉」となっていて、朱肉といえばこちらのタイプのほうが一般的です。

シヤチハタは油に弱い?

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「スポンジ朱肉」と「赤色インキのスタンプ台」を並べてみると、どちらも赤い色ですから、一見同じように見えます。

朱肉には植物油、合成樹脂、顔料を朱油(しゅあぶら)と呼ばれるインキ状にしたものが、スポンジに染みています。

一方、スタンプ台のほうには、ゴム印やスタンプにつけるインキを均一に付着させるために、筆記用インキに比べグリセリンやグリコールといった成分が含まれていて、粘度が高いのが特長となっています。

また、スタンプ台には「水性タイプ」と「油性タイプ」のものがあり、「水性」は印影がきれいに出ますが、やや乾きが遅いのが特徴。「油性」のものは、インキの乾きが早い反面、印影がにじんでしまうことがあります。

「スポンジ朱肉」と「赤色インキのスタンプ台」は見た目は同じ赤ですが、このように成分は違っています。

では、もし、使っているシヤチハタのインキが切れたからと朱肉につけて使っても大丈夫なのでしょうか。

実は、ゴム印を朱肉につけてしまうと朱肉のインキと反応して、ゴム部分が溶けたり膨らんだりする危険があるので止めておいたほうが無難です。

朱肉のインキには油が含まれています。油は浸透性が高く、ゴムに触れるとゴムの分子の間に入り込んでいきます。するとゴムの分子結合が壊れてしまい、溶けたり、切れやすくなったりしてしまうのです。

シヤチハタの印面部分はゴムでできています。
ですから、油に弱いのです。そのため朱肉につけてシヤチハタを捺してしまうと印面が歪んだり、ちぎれたりしてしまうので注意が必要です。

朱肉ははんこ用、スタンプ台はゴム印用となっています。同じ赤だからとシヤチハタを朱肉につけて使ったり、はんこをスタンプ台につけたりすると傷める原因になるので止めましょう。

正しい使い方で長持ちを

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普通に生活していると、はんこを使うのは決まってシヤチハタばかりという人が多いと思います。
ひょっとしたら朱肉を使ってはんこを捺す…そんなシーンはここ何年もないという人もいるかもしれません。

しかし、朱肉は使わなくても時間た経てば劣化してしまいます。
そのため、いざ使おうとしたときに乾いてしまっていて大事なはんこが捺せなかった…ということのないよう、定期的に点検することも大切です。

たとえ使っていなくても、一定期間で交換したり、乾いているようなら補充インキで補充をしておくようにしましょう。ポイントは、使っている朱肉専用の補充インキを購入することです。

安いからと100均などで買ってきたものを継ぎ足してしまうと、色合いが違ってきたり、朱肉のスポンジが傷む原因にもなります。同じ色合いのものを補充するようにしましょう。補充する場合は、補充用インキをしっかりと振って均一に混ぜてから補充するようにします。

練りタイプのものは、古くなるとカチカチになってしまいます。このような場合はへらでよく練ってみましょう。夏の暑いときは柔らかくなってしまうので、冷蔵庫に入れておけば、また固まってくれます。ただ、へばりついていて少なかったりするときは、新しい練り朱肉を補充します。

スタンプ台もメンテナンスが必要です。インキがなければ補充することもできます。

ただし、スタンプ台のインキと朱肉用のインキを間違わないことも大切です。補充するときは気をつけて補充するようにしましょう。

しかし、長年使ってなかったり、反対にいつも使っていればだんだんとかすれてくる部分ができたりします。

いつもより強い力を込めて捺しても変わらないようであれば、スタンプ台の替え時かもしれません。力を入れて押し付けなくても、軽く捺すだけでくっきりと出るようになるはずです。

間違った使い方をしてしまうと、はんこやシヤチハタを傷めることにもなりかねません。正しく使い、そしてインキを補充したりとメンテナンスすれば長持ちさせることに繋がります。

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