最高級の天然印材「牛角」
https://www.shutterstock.com/
「牛角」は天然印材のひとつで最高級品です。牛角は水牛の角のことですが、水牛といえば中でも黒水牛は有名です。中でもオランダ水牛は数が少なく、希少価値が高いため、最高級といわれています。
牛角は色や模様でランク分けがされていて、乳白色に近いものから褐色を帯びたものなど種類は豊富です。
ただ、牛角の品質は、どこの部分を使うかによって異なってきます。黒水牛と同様、芯の部分が最も高級とされていますが、外側にいくほどランクが落ちてきます。
また、中でも白牛角(明角)が最も貴重で、透明度の高いものほど高級とされています。一方、黒牛角は質が細かく潤いのあるものが高級です。
牛角は適度な硬さがあり、材質が緻密であるため、掘りやすく、また、ひび割れにも強いのではんこには最適です。捺印したときにもくっきりとした印象があり、実用性もばつぐんです。
ただ、牛角などの動物性印材は、金属や石に比べて、保存性が悪く、温度や湿度の影響を受けやすいのがネックになっています。
せっかくの高級はんこを管理の不手際でダメにしてはもったいないです。
保管には注意しましょう。
はんこの代名詞「本拓」
https://www.shutterstock.com/
木印というと、「柘」がいちばん有名です。
また、歴史も古く、大昔から使われていたのが木印です。
四季によって気候が様々に変わる日本では昔から、木は生活に密着した欠かせないものでした。そのため、木の文化が育まれてきたのです。神が宿る御神木を敬ったり、木を使ってはんこを作ったり…と、木に対する特別な感情をさまざまな形で昔から表してきました。
白壇、楓のほか、杉やヒノキといった木もよく印材として用いられています。
中でも、柘ははんこの代名詞といわれるほどです。理由は柘植の木は加工しやすく、手に入れやすいからです。
柘植の中でも高級といわれているのが、磨くと光沢が出る「薩摩本柘」です。
薩摩本柘は薩摩、鹿児島県産のもので、目がギュッと詰まっているため、線維の密度が高く、また、木目が美しいためその部分も親しまれる理由の一つになっています。
この素材の難点は衝撃に強くない事です。木製の印材は比較的軟らかいため、印面が強く抑えられると、一部がくぼんだり、変形したりするため、保管時には注意が必要です。
また、朱肉の油を長い間吸っていると、だんだん強くなりますが、使わずに置いておくとカビや、虫に喰われて使えなくなってしまいます。そういったことにならないように、時々取り出して、乾いた布でよく拭くといったメンテナンスが必要です。
木印は朱肉が印面に詰まりやすいため、使ったままにしておくと文字が太くなったりすることがあるので、使う度に印面をよく拭くことも大事です。
おしゃれな「チタン」
https://www.shutterstock.com/
1791年にイギリスで偶然発見された「チタン」は、まだ新しい金属です。
チタンは「軽い」「強い」「錆びにくい」という3つの特徴があるため、工業をはじめとしたさまざまな分野で使用されています。「錆びにくい」ため海や川の中でも強く、橋の足などにも使われます。
このようにチタンは汎用性が高いため、さまざまな分野に使われています。そのため、印材としても使われるようになりました。
チタンの強度は鉄の2倍、アルミの3倍ともいわれています。
ですから、朱肉につけても強く、ノリも非常に良いのが特徴。印面に均一につくため、押しムラのないきれいに捺すことができます。
金属ですから、適度な重さがあるので、軽く捺してもしっかりとした印影が得られます。はんこは重ければ自然に押せるので、力を入れる必要なく、自然に押すことができます。なかなかきれいに捺せない人にもおすすめの印材がチタンといえるでしょう。
また、メタリックなので、見た目もスタイリッシュです。10.5ミリならおおよそ24グラム程度となり、柘は5グラム程度ですから5倍程の重さとなり、ずっしりとした感じがするはずです。ただ、その分、押した後の文字を見ると美しく捺されているので、満足感もひとしおです。
手軽なシャチハタと異なり、はんこはなかなか作るものではありません。だからといって、何でもいいというものでもないのです。はんこは自分を証明する大切なものです。あまり意識したことがないかもしれませんが、はんこは自分の分身でもあるのです。自分の一部なのですから、良いものをそろえて大切に使うことで、自分の自信や力となるはずです。
- 知識
- VIEW:463