はんこの歴史
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「はんこ」と聞くと何を思い浮かべるでしょうか。
実印を思い浮かべる人、
認印をイメージした人、
シャチハタかな?と思う人などさまざまでしょう。
はんこは名前が掘ってあるもので、受領書や領収書に捺したりとサイン代わりに使うものと考えられているものです。
起源は紀元前5000年ごろのメソポタミアだといわれています。
歴史の教科書に書かれていたことをぼんやりと思い出した人もいるでしょうが、世界四大文明の一つであるメソポタミア文明はチグリス川とユーフラテス川流域のメソポタミアにあった現在人類最古と考えられている文明のことです。
青銅器や楔形文字(くさびがたもじ、または、せっけいもじ)を用い、印をも用いていました。この印はスタンプ式で所有を意味していたとされています。
日本に伝わったのは今から約2300年前ごろとされ、後漢の光武帝時代に倭奴国(日本)に送られた金印(漢倭奴国王)が有名です。
とぐろをまいたような蛇の形をした「つまみ」があり、印は正方形で1辺が2.3センチ、重さ108グラムの純金製。
最初から一般人が持っていたわけではなく、はんこは位の高い偉い人しか持てませんでした。
平安時代では「手形印」、江戸時代には「花押」、そして明治6年10月1日明治新政府が行なった太政官布告により印鑑登録制度が定められました。これを記念し毎年10月1日は「印章記念日」と定められています。
また、天皇が持っている印といえば「天皇御璽(ぎょじ)」と、国家の印である「国璽(こくじ)」の2つです。即位時に神器と共に印鑑が継承されたことで、記憶にまだ残っているかと思います。
天皇の国事行為の文書に押印されるのが「天皇御璽」ですが、強度を保つために18金製といわれています。四方の角印で大きさは3寸(約9.09cm)、重さは約3.55kgと大きく、そして重いので、片手でポンとはいきません。はんこを捺すのも苦労しそうですね。
ちなみに朱肉は国立印刷局特製のもののようです。
「国璽」の大きさはほぼ「天皇御璽」と同じですが、こちらは外交文書や国家の重要文書に使われるものです。
「印章」と「印鑑」の違いって?
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ところで「印章(いんしょう)」と「印鑑」の違いは何だと思いますか。
え、どっちもはんこのことじゃないの? と思われた方もいるかもしれません。
しかし、実は印章と印鑑は厳密に言うと意味が違うのです。
印章とはんこは同じ意味で、手に持って押すはんこそのものを指しています。
ところが、印鑑は紙に捺したときに残る印のことをさしています。つまり「印影」ということになるのです。
印鑑の「鑑」を辞書で調べてみました。
①かがみ。手本。模範。いましめ。
②かんがみる。見わける。照らしあわせて見る。
「照らしあわせて見る」という意味に当てはまるので、印鑑という文字を見たらこれを思い出してみてください。
木、竹、石、角、象牙、金属、合成樹脂などを素材として掘られているはんこ本体の正式名は「印章」となります。
このことから、普段何気なく印鑑と呼んでいるはんこは、本当は「印章」と呼ぶべきものだということがわかります。
ですから、
「印鑑を持って来てください」
というのは本当は間違っているということになります。
印鑑ではなく、正確に言うのなら印章になるので、本来は
「印章を持って来てください」
と言わなければいけないということがわかったはずですね。
しかし、いくら何でも正確な言い方はなかなかしないのが世の常というものです。
「ここに印鑑を捺してください」
「印鑑持って来て下さいね」
と言われても『そうじゃなくて、それは印章なんだけどね』と思いながらも心にとどめておくのが大人というものです。
印鑑=はんこでも、通じればささいなことなので、ここではんこの豆知識のひとつとして頭の片隅に入れておくようにしてくださいね。
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