拇印、サイン、捺印それぞれの効果の違いは!?

拇印、サイン、捺印それぞれの効果の違いは!?

サインにはんこが捺されていなければ有効ではないと思われがちですが、そうではありません。拇印、サイン、捺印はそれぞれ法的に有効なものなのです。 2018年11月21日作成

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サインにはんこが捺されていなければ有効ではないと思われがちですが、そうではありません。拇印、サイン、捺印はそれぞれ法的に有効なものなのです。 2018年11月21日作成

TOPIC 01

印鑑登録制度

出典元:https://www.shutterstock.com

印鑑登録制度とは、かんたんに言うとはんこを登録する制度のことです。

個人と会社法人の二種類があります。
個人の場合は、はんこを住んでいる市区町村に登録します。
会社法人の場合なら、はんこを最寄りの法務局に提出して登録します。

個人の場合の印鑑登録制度

自分の住民票のある市区町村に出向き、印鑑登録の部署で持って行ったはんこを登録します。
印鑑登録は必ずしも必要なものではありませんので、するかしないかは自由です。ただ、はんこの登録をしておけば、必要に応じて証明書を請求することができるので、いざというときには便利でしょう。

また、登録できるはんこは市区町村により多少異なるので注意が必要です。絵柄やアルファベットなどが入ったはんこの場合は、事前に問い合わせておくと安心です。

会社の場合の印鑑登録制度

個人の場合は必要がなければ登録しなくてもかまいませんが、会社の場合は商業登記法20条1項本文に
「登記の申請書に押印すべき者は、あらかじめ、その印鑑を登記所に提出しなければならない」
と定められているため、登録を行わなくてはいけません。

そもそも、はんこの登録をしないと会社の設立ができない仕組みとなっているので、必ず、登録しているはずです。また、登録されたはんこは提出した法務局に記録されるので、いつでも必要なときに印鑑証明書が請求ができるようになっています。

個人も法人も印鑑証明書を市区町村で直接発行してもらうためには、登録したときにもらった「印鑑登録証」と発行手数料が必要です。

個人の場合、マイナンバーカードや住民基本台帳カードを利用すれば、近くにあるコンビニでも手軽に印鑑登録証明書が取れるようになりました。年末年始を除き、昼休みや市区町村窓口が閉まっている時間帯でも、毎日6時半から23時までなら、マルチコピー機から取り出すことができます。

法人の場合は、事前登録が必要ですが、ネットでかんたんに法人用の印鑑証明書を申し込むことができるようになり、便利になりました。

TOPIC 02

それぞれの効果の違い

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では、拇印、サイン、捺印はどう違うのでしょうか。

拇印

はんこを持っていないときに、指先に朱肉などをつけて、書類に指紋を残して、はんこの代わりにすることを拇印といいます。一般的には親指を用いますが、人差し指を用いることもあり、指印といわれることもあります。

また、手書きで自分の苗字、名前、イニシャルを書いて、丸く囲んではんこのようにしたサインを書き判(かきばん)といいます。宅急便で荷物を受け取るときに、はんこが見つからない!ということがあります。そんなときに書くサインが書き判です。

拇印や書き判は意思表示を示す証拠となり、法的効力があると判断される場合もありますが、手形や小切手の振出しには認められません。そのため、拇印や書き判には、法的効力が薄いとされるので注意が必要です。

サイン

サインとは署名のことです。自身でサインすることで証拠にもなります。筆跡は人によって違うので筆跡鑑定をすることも可能です。刑事ドラマでもたびたび出てくるのでご存じでしょうが、本人であることを証明するもののひとつとなります。

欧米諸外国でははんこは使わず、すべてがサインです。

捺印(なついん)

捺印とは、はんこを捺すことです。「署名捺印」は自筆でサインをして、はんこを捺すこと。

また、「記名押印(きめいおういん)」という言葉もあります。押印も捺印と同じくはんこを捺すことですが、記名は自筆ではなく、ゴム印、パソコン、代筆などにより書かれたもののこと。そのため、誰が書いたのかがわかりません。

商法第32条では「署名すべき場合には、記名押印をもって、署名に代えることができる。」とあり、記名の場合は、本人のものであることを示すために、記名の後に押印があれば署名と同じ価値があるとしています。

記名押印で用いたはんこが実印であれば、本人によるものとされる可能性も高くなります。

TOPIC 03

サインだけですむ場合

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では、はんこが不要で、サインだけですむ場合はどういうときでしょうか。

まず、日本では古くからの習慣として、はんこの制度があり、サインをした後でもはんこを捺すのが一般的です。そのため、はんこを捺さなければ書類は有効ではないと思っているとしたら、それは大間違いです。

はんこが捺されてなくても、サインだけあれば十分有効となるので注意が必要です。

たとえば、クレジットカードでの買い物はどうでしょうか。
買った後は、サインだけで終わりです。はんこは必要ありません。

また、銀行で口座を開設するには、はんこ、運転免許証やパスポートなど写真付きの本人確認書類、そして現金が必要です。ところが、最近では、サイン登録が採用されている金融機関もあり、はんこは必ずしも必要ではなくなってきたのです。

委任状を作るときもサインさえあれば有効です。
何となく、委任状というと実印を捺さなければいけないように感じますが、そもそも委任するための証明書類です。ですから、本人がそれを認めてサインさえあればいいのです。ただし、記名の場合は押印が必要となります。



はんこがないときに有効なのは、拇印や書き判、そしてサインです。日本ははんこ社会ですから、はんこがないと不安になるかもしれません。でも、どんなに注意していても忘れてしまうこともあります。そんなときは慌てずに、自筆のサインがあれば抗力を発揮しますので覚えておきましょう。

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