はんこが必要な時など、たまに聞くことのある「三文判」(さんもんばん)。
「シャチハタじゃなくて三文判を持ってきてね」と言われたことはありませんか?
三文判?認印じゃなくて?どうしてシャチハタだとだめなの?
「ふだん使う機会は多いのに、これといった違いがわからない…」
そんな方に今回は、三文判についての紹介と、シャチハタとの違いを徹底解説します。
三文判ってなに?
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三文判をひとことでいうと「大量生産の安いはんこの総称」です。
くわえて、認印とは「役所で登録がされていない印鑑のすべて」
ですから、三文判は「出来合いの安いの認印」と考えてよいでしょう。
具体的には、オーダーしてつくるものではなく、文具屋屋などで売っている既成の印鑑のことです。
あとは、学校の卒業記念に印鑑をもらった経験ありませんか?あれが三文判です。
三文判の語源は?
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「早起きは三文の得」ということわざを知っていますか?三文判はことわざの「三文」と同じ意味なんです。
江戸時代以前、日本には「文」という通貨がありました。今でいうと1文=30円。
そこから三文は「価値の低いものや安いもの」に対して使われるようになりました。
そのため三文判とは「価値の安い判(=はんこ)」という言葉になりました。
三文判の良いところ
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三文判の最大のメリットはやはり「安さ」と「どこでも手に入る」ことです。
三文判は「ラクト」という安価なプラスチックの材質でできており、機械で大量に生産されているためコストが抑えられています。
また、一部の大型量販店では「はんこの自動販売機」というものがあります。色んな書体を選べるうえに、5分〜10分ほどで作成できる機械です。また、フルネームの印鑑をつくることもできます。
ですので、変わった名字の人でも気軽に三文判を使えるようになりました。
そんな便利な三文判ですが、やはり木材やチタンの印鑑よりは欠けやすいです。
使うときはていねいに扱いましょう。
三文判の使い道と注意点
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実は、三文判は印鑑登録や銀行に出せば、実印、銀行印としても使えてしまうのです。
これはつまり「だれでもあなたの印鑑を偽造・複製出来てしまう」ということになります。
例えば、あなたは100均の三文判で銀行口座を作ったとします。ある日、空き巣に入られて通帳を盗まれてしまいました。幸い印鑑は手元にあったので盗まれませんでした。
ですが、大量生産の三文判は簡単に偽造できてしまいます。するとあなたの口座からお金が不正に引き出しされてしまう…ということにつながります。
ですから実印・銀行印、その他お金に関わる書類などは、オーダーメイドのものが好ましいです。
ではどういう時に三文判を使うのか。
日本は紙社会ですので、他人となにかを交わすときに契約書を書く機会がとても多いです。契約書が必要な理由としては、トラブルの回避、信頼を高める、など。
おおくは実名の筆記と押印が必要になります。おもに履歴書や婚姻届など「公的」な書類の契約に使います。
また「書類に印鑑を押すこと=内容を認めること」なので、よく書類に目を通してから押しましょう。
シャチハタとの違い
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シャチハタとは「朱肉のいらないインク浸透印」のことです。
(本来シャチハタは会社名ですが、ここでは浸透印の代名詞として使います)
インクが印面に染み込んでいるので、印鑑よりも手軽に押せます。そして、シャチハタも既製品は大量生産されているので三文判の仲間といえます。
三文判はプラスチックで作られているのに対し、シャチハタはゴム製です。
ゴムは使うとすり減るため、押した時の印影が変わりやすく、実印・銀行印には使えません。
そのためシャチハタは契約書に押すのも好ましくありません。
また三文判とシャチハタは「インク」にも違いがあります。
三文判で使う朱肉には染料というインクが使われます。
シャチハタも昔は染料でしたが、最近はほぼ顔料インクが使われています。
染料と顔料の違いは、
・紙に染み込ませて使うのが染料(朱肉)
・紙の上にのせて乾かすのが顔料(シャチハタ)
朱肉は紫外線に強く、シャチハタは印影がかすれるという可能性があります。
以上のことから、契約書類にはシャチハタは使えない場合が多いのです。
簡単な書類には三文判、郵便の受け取りはシャチハタを
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朱肉を使わずに押せるシャチハタは、郵便受け取りや、会社で使うことをおすすめします。
印鑑を押すことが日常的な方は、時間短縮できるシャチハタを使うことで、効率があがります。
最近では、ワンタッチで捺印できる、キャップレスタイプのシャチハタもあります。フタを外さなくてよいのでさらにラクに使えますね。
偽造の恐れがある実印は大切に保管して、簡単な書類には三文判がおすすめです。
契約の効力としては実印も三文判も変わりません。
これを機に、普段の使い方をおさらいしてみましょう。シャチハタと三文判、1本ずづ手元にあると良いかもしれませんね。
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