印鑑に使われる専門用語
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印鑑はよく使うものですが、専門用語が多く、聞いたことがないためよくわからない言葉が多いものです。
まず、名前の入った部分から見ていきましょう。
「はんこ」というと朱肉を使うものとシャチハタのように不要なものとを思い浮かべると思います。それに対し、「印鑑」と言われると朱肉が必要なものとイメージされるのではないでしょうか。
このように何となく使い分けているようですが、じつははんこというとシャチハタを思い浮かべる方のほうが多く、要するにゴム印=はんこということになります。
では、名前の入った部分は何と呼ぶのでしょうか。
正解は「印影」です。何となく文字から読み取ると紙に捺したものを差すような気がしますが、印面のデザインも印影のうちに入るということです。
印鑑の本体部分はいろんな材質で使われています。印鑑の材料なので「印材」といい、柘や黒檀などの木材系、水牛や牛角などの角系、そしてチタンなどの金属系などがあります。
彫り方には大量生産で安価な「機械彫り」と、職人さんが一つ一つ彫ってくれる高級な「手彫り」があります。ただ、現在では1本ずつ全ての工程を手で行うというと時間もかかることから、完全な手彫りを行っている職人さんはほんのわずかしかいないようです。
また、「手仕上げ」というものもあります。これは機械彫りのものに少し手を加えたものから、全工程を手彫りで作成した印鑑とまったく変わらないようなものまでピンキリです。
印鑑側面についている凹みって何?
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印鑑をよく見ると、側面の持つ部分に凹みがあるものがあります。
これを「サグリ」や「アタリ」と呼んでいます。
ここに人差し指を入れるようになっていて、これがあると上下がわかるようになっています。薄暗いところで捺しても前がどちらかがわかるようにということでつけられたものです。これがあることで急いでいても逆さまに捺すことがないというわけです。
ところが、「サグリ」は高級な印鑑にはついていません。
たとえば、高級な印鑑といえば実印ですが、実印は自分の分身のようなものです。この印鑑を捺すことは「その書類や文章や契約の内容を十分に理解し、承諾した」ということ。
ですから、気軽にポンと捺すことのないよう「サグリ」が入っていないのです。要するに印鑑を捺す前に「本当にその書類に捺して良いのかを考えなさい」という意味が込められているようです。
ただ、何となく「サグリ」が入っていないと、どっちが上?下?と確かめるだけに夢中になり、本来の書類に捺して良いのかどうかなどと考えている暇はないような気がします。
高級な印鑑はたいてい印材も高級ですから、「サグリ」を入れて削ってしまうのはもったいないということなのでしょう。
不便だし、考える時間が欲しいと思うなら、わかるように小さなシールでも貼っておけば目印にもなります。
その他の用語について
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印面の反対側にある面を「天(てん)」と呼びます。たいていはもっこりと膨らんでいて半円状になっているものが多く見られます。
印鑑のキャップを「サヤ」と言いますが、サヤと聞くと何だか刀のようですが、「サヤ付き」と書かれてあれば「キャップがついている」という意味です。会社の実印や銀行印についていることが多く、印鑑と同じ素材で作られています。
また、書道の展示会に行くと、最後に書いた方の印鑑が捺してあるのをよく見ると思います。これを「落款(らっかん)印」と言います。
これは落成款識(らくせいかんし)の略語で、通常の印鑑のように書類に捺すものではなく、掛け軸などの日本画・書道の作品に捺して使うものです。
これが捺してあると「完成」「自分の作品」という意味。ですから、証明や承認という本来の印鑑とは違った意味を持つ印鑑ということになります。
印鑑は古くからあるものですから、独自の用語が多く存在します。よく使う用語をピックアップしてみました。これらを少しだけ頭に入れておけば、次に用語を見た時に「ああ、あれだな」と思い出してみてください。
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