ビジネスでの捺印は、記名以外にもさまざまな用途で使われています。
捺印の種類や意味、捺し方を正しく知っていますか?
正しく理解していれば、契約するときに慌てることはありません。
今回は、ビジネスで使われる一般的な
・割印
・契印
・消印
・止印
・捨印
の使い方を詳しく紹介していきます。
割印(わりいん)
出典:https://www.shutterstock.com
割印とは、二枚以上の書類が同一、もしくは関連があることを示すために、各文書にまたがって捺す印のこと。
基本的に、自社と他社で契約を結ぶので文書は二枚以上になります。
割印は、文書内容の改ざんや複製を防ぐために捺すものです。
例えば、割印を捺すことで「同じ日に同じ内容で作成された」ことを証明できます。
契約書以外にも、領収書とその控えにまたがって捺すこともあります。
割印の捺し方
例えば、書類が2部ある場合は、タテかヨコにずらして重ねた部分をまたぐように捺します。
2部以上の場合でも同じです。その場合はずらす幅を狭めて捺します。
一般的に割印に使う印鑑は、契約書類に捺してある印鑑を使用します。
契印(けいいん)
出典:https://www.shutterstock.com
契印は、割印と混同する方が多いですが、意味・用途が異なります。
契印は、契約書が二枚以上ある場合に、途中ページの差し替えや抜き取りなどを防ぐために、ページのつなぎ目に捺すものです。
2ページ以上ある場合、一方が改ざんをしても、契印が捺されていなければ、どちらが正しいのか分からなくなってしまいます。
契印を捺すことで書類の内容が正しくつながっていることを証明できます。
契印の捺し方
契印は、書類を閉じる方法によって捺す場所が違います。
例えば、見開きページの場合は、左右のページにまたがるように上下二箇所捺します。
一箇所ホチキス留めの場合は、ページを谷折りし、次のページに重なる部分に捺印します。
ページ数が多い場合は、製本テープで閉じるのをおすすめします。
裏表紙と製本テープをまたいで捺すだけで良いので、すべてのページに捺す手間が省けます。
そして、契印には認印を使用することが多いです。
割印と違い、契印はたくさん捺す必要があるので、実印で捺すと偽造の恐れがあるからです。
消印(けしいん)
出典:https://www.shutterstock.com
消印とは、ハガキや切手、収入印紙、証券などが使用済みであることを表すための印。
これは、切手を剥がして再利用されることを防ぐためです。
使用済みの切手・収入印紙を再利用するのは犯罪です。
特に印紙の場合は、消印が捺されていないと税務調査で指摘を受ける対象になります。
当日消印とは?
郵便局では、消印を、「しょういん」と呼び、意味が異なります。
懸賞ハガキや大学の願書などで「当日消印有効」という記載がありますが、郵便局での消印は「郵便物を引き受けた日」という意味で使われているのす。
つまり、当日消印は、郵便を引き受けた日が期日に間に合えば受付ますよ、という意味になります。
ちなみに、当日消印と間違われやすいのは「必着」です。
郵便を送る際は、期日が当日消印有効なのか、必着なのかを確認しましょう。
消印の捺し方
消印をビジネスで使う機会は、主に契約書や領収書です。
契約書や領収書には課税対象のものに印紙を貼る必要があります。
(原則50,000円以上なら200円の収入印紙など、金額によって異なる)
そして、貼った印紙と領収書をまたぐように印を捺します。
これは割印とも言われます。
また、契約書で2人いる場合には、因子の両側から、甲乙の印を捺します。
消印に使う印鑑は、記名欄で使ったものを使用します。
止印(とめいん)
出典:https://www.shutterstock.com/
止印とは、契約書の文章に余白があるときに、不正に書き足されないように捺す印のことです。
止印を捺す以外に、「以下余白」と記す方法もあります。
止印の捺し方は、文書の末尾に押します。
このとき、文書に被って捺すと、訂正印と間違えられることがあるので注意します。
止印は契約者1名のみの捺印で大丈夫です。
捨印(すていん)
出典:https://www.shutterstock.com/
捨印とは、文書の欄外に前もって印を捺しておくこと。
例えば、契約後に誤字脱字などがあった場合、訂正するには契約者全員の訂正印が必要になります。
そのときにわざわざ相手側に訂正印だけをもらいにいくのは手間です。
捨印を前もって捺してあれば、訂正印に早変わりします。
先方に修正を任せることができるというわけです。
捨印の注意点
捨印には気をつけるべき点があります。
捨印は「提出後に訂正されることを前もって許可するもの」。つまり、相手側に内容を書き換えられる危険性があるのです。
借用書で、後日金額を訂正されてしまった!
なんてことがあってはいけません。
捨印は原則誤字脱字のみに使われるもので、契約内容の変更には使えない、とはされていますが、法律で確かな決まりはありません。
何気なく捺してしまっている捨印ですが、注意するようにしましょう。
また、銀行など、捨印が習慣化しているところは、捺さないと書類を通してもらえないことがあります。
ビジネスで捺印する機会
出典:https://www.shutterstock.com
社会人になると、印鑑を使う機会がとても多くなります。
記名に捺すだけでなく、書類の不正を防ぐためにさまざまな用途で使われます。
たとえば会社の上司に、「印紙の消印をください」と言われた時など、意味がわかっているとスムーズです。
契約書に割印を捺し忘れたりすると怒られてしまうこともあるでしょう。
捺印方法の意味と用途を理解して、ビジネスに役立てましょう。
商品のご紹介
- 知識
- VIEW:1,823