そもそも「香典」とは何なのでしょうか
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香典は、線香や花の代わりに死者の霊前に供えるもので、現金を不祝儀袋と呼ばれるのし袋に包んだものをさします。香典の「香」の字は、昔故人に対して線香や花を供えていたことを現しています。
不祝儀袋は、「御霊前」や「御香典」などと書かれた黒や灰色が使われている袋で、コンビニや100均などでも売っています。
たいていの場合、通夜か告別式の時に持参して渡すのが正しいタイミングとされています。受付で、「このたびはご愁傷様です」などお悔やみの言葉をひと言述べてから、香典袋を差し出します。ふくさから不祝儀袋を取り出し、その上に不祝儀袋を乗せて差し出します。
通夜と告別式の両方に出席する場合は、通夜のときに持参し、告別式の時は記帳だけします。
葬儀にかかる費用は決して安くはありません。葬儀にかかる金銭的な負担を少しでも軽くしてあげようという助け合いの意味が込められていて、現金を包んで渡す香典は戦後に確立されたものです。
また、どうしても日時が合わず通夜にも葬儀にも参列できない時は、香典を郵送しても良く、その時は、現金書留でメッセージを添えると良いでしょう。
文字を「薄墨で書く」マナーはなぜ?
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表書きは薄墨で書くのがマナーですが、これにはどんな意味があるのでしょうか。
薄墨で悲しみを表すと一般的には言われていますが、
「硯(すずり)に涙が落ちて墨が薄くなり、濃くすることができない」
「涙で墨がにじんでしまった」
「突然のことで墨をよくする時間がなかった」
「急なことだったため、十分な墨をが用意できなかった」
という意味。
ですから、告別式当日に渡すものはどの宗教でも薄墨を使うことが望ましいとされています。
しかし、今では「御霊前」という表書きが黒く印刷されているので、わざわざ薄くする必要もないという考え方もありますし、喪主側も気にしないことが多いようです。
また、中袋は薄墨でも濃い墨でもかまいませんが、壱、弐、参、阡、萬のように漢数字を用いて金額を明記しましょう。
そのほかに注意することとは?
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故人の宗教や宗派によって香典にも違いが出てきます。
仏式の場合は、「御霊前」だけでなく、お香に代えて金品を供える意味合いがある「御香料」や「御香典」もあります。様々な宗教で使用できるのが「御霊前」ですが、蓮のイラストが書かれている香典袋は仏式のみで使用します。
ただし、浄土真宗では「御霊前」ではなく、亡くなると仏様となるため「御仏前」を使います。
キリスト教の場合は、カトリックでは「御ミサ料」のほか、「お花料」や「御花料」、仏式と同じ「御霊前」も使えます。プロテスタントでは、同様に「お花料」のほか、「献花料」も使えます。
宗派がわからないときは、前もって聞いておくようにしましょう。
香典で意外と多いのが、お札の入れ忘れです。喪服などの用意でバタバタしていて、後で入れようとして忘れてしまうことがあります。たとえ、遺族側が気づいたとしても、「お金が入っていなかった」とはなかなか言い出せません。ですから、渡す前に必ず中身を確認するようにしましょう。
金額は、故人とのつき合いの深さによって変わります。親族でない場合は、一般的に3千円~5千円が目安。奇数は陽数、偶数は陰数というような伝統的な禁忌がああったり、枚数だけでなく新札を避けるところが多いようです。
昔と比べればさまざまなところが簡略化されてきましたが、最低限のマナーは守るようにしましょう。
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