起源はどこから? はんこの歴史について

起源はどこから? はんこの歴史について

はんこが出現したのは、なんと紀元前5000年頃のメソポタミアでした。日本でどのように広まっていったのか、はんこの歴史について見ていきましょう。
2019年02月19日作成

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はんこが出現したのは、なんと紀元前5000年頃のメソポタミアでした。日本でどのように広まっていったのか、はんこの歴史について見ていきましょう。
2019年02月19日作成

TOPIC 01

シュメール人が作った最初のはんこ「円筒印章」

出典元:https://www.shutterstock.com

はんこが初めて使われたのは、紀元前5000年頃の古代メソポタミアといわれています。

古代シュメール人による円筒形のはんこ「円筒印章(えんとういんしょう)」でした。これは円筒形の石、貝殻などに絵や文字を描いたもので、転がして捺すスタンプ式。シリンダーシールとも呼ばれています。

主に布や粘土に捺され、所有物などを示すために使われていました。

たとえば、容器の蓋を粘土で封印し、中に大切な物が入っているという証拠として、責任者がその封泥に円筒印章をコロコロと転がして模様をつけたのです。

こうして印をつけることでつけたものに神聖な力が宿り、所有物が守られると考えられていたとされています。

当時、円筒印章に使われていた材質はラピスラズリや宝石といった高級石材でした。これをネックレスのように身につけていたとされています。従って、円筒印章を持つことは有力者の象徴となっていたことが伺えます。

このことからはんこは、位や身分を表す印であったということがわかります。

シュメール人は円筒印章のほか、象形文字を発展させたくさび型文字を作り、ハンムラビ法典を残しました。また、太陽暦を用いて1週間を7日と決めたのも彼らであるといわれています。

TOPIC 02

はんこを持てるのは身分が高い人だけ

出典元:https://www.shutterstock.com

はんこは長い年月を経て中国へと伝わり、後漢の時代に日本へと伝わっていきました。

日本最古のはんこが「漢委奴国王(かんのわのなのこくおう)」と彫られた金印です。教科書にも載っている、有名な金のはんこです。

この金印はその名の通り、全てが黄金製。一辺2.3センチ、重さ108グラムで「漢委奴国王」という五つの漢字が刻まれていて、つまみは蛇をかたどっています。

金印は江戸時代、博多湾に浮かぶ志賀島(しかのしま)で農作業中に偶然発見されました。発見された場所は「金印公園」となっていて、「漢委奴国王金印発光之処」という石碑も立っています。

金印は福岡市博物館に展示されています。

こうして伝わったはんこが使われるようになったのが、大宝元年(701年)の大宝令のより、新しいはんこの様式が決められたためです。この頃のはんこはまだまだ一般的なものではなく、使われるのは決まって公文書でした。

また、はんこを持つには正式な許可が必要でした。

戦国時代に入ると、戦国大名などの武将がはんこを使い始めるようになります。中でも有名なのが織田信長の「天下布武(てんかふぶ)」です。これは天下統一の意味で、岐阜進出直後の1567年11月ごろから使い始めました。

江戸時代になると名主が代官などに届け出を出すようになり、徐々に広まっていくようになりました。

TOPIC 03

「ネーム印」が生まれるまで

出典元:https://www.stamp-box.jp/

明治6年(1873年)10月1日、太政官布告で署名のほかに実印を捺印する制度が定められました。

これにより、はんこが正式に市民権を得た日を記念して、10月1日が「印章の日」となったのです。

はんこと言えばシヤチハタですが、シヤチハタは1925年(大正14年)、「舟橋商会」という名で創業し、シャチハタの土台となる萬年スタンプ台を開発しました。

1941年(昭和16年)に社名を変更し、シヤチハタ工業株式会社を設立しました。

1950年代に入り、日本は高度経済成長期に突入。経済的にも大きく成長していき、この頃から人々が効率化を求め始めたのです。

ところが、いちいちスタンプ台につけるのは面倒という意見が出たことから、シヤチハタは「スタンプ台のいらないスタンプ」の開発に取り組みました。こうして1965年に事務用品として今もオフィスで目にすることが多い「領収書」「速達」といったゴム印とスタンプ台を掛け合わせた「Xスタンパー」が誕生したのです。

その後、1968年に一般家庭でも使えるはんこと朱肉を掛け合わせた「ネーム印」が発売されることになりました。これが通称、「シャチハタ」と呼ばれるはんこになったのです。

しかし、当時は画期的な商品だったにも関わらず、市場に受け入れてもらうことができませんでした。公的機関で粗品として贈呈してもらうようになると、どんどんと浸透していくようになり、ひとり1本は持っているといわれるほどになったのです。

今も年間600万本売れる「ネーム印」はこうして生まれたのです。

はんこはよく使うものなので、つい、どこにでも置いてしまうものですが、本当は法律上の文書でも捺される大切なものです。もちろん、日々の仕事や宅配便の受け取りに認印を捺すこともありますが、だからといって軽いものではないのです。

信頼性も高く、はんこを捺すことで法的な効果も生まれます。はんこには歴史からみてもわかるように、予想以上の効果があることを覚えておきましょう。

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