楷書体(かいしょたい)
出典元:https://www.shutterstock.com
「楷書体」は、隷書体が元になっている書体です。
隷書体は篆書が漢の時代に簡略化されたもので、古代中国の印は篆書で刻まれたことから、篆刻といわれています。
そもそもベースとなっている篆書は、古代中国の書体の一つで、大篆と小篆に区別されています。大篆は紀元前九世紀頃に周の太史が作ったとされ、戦国時代までの通用していた書体でした。一方、小篆はそれをやや簡略化したもので、秦の宰相李斯が作ったとされる書体です。
これが、現在使われている楷書の直接的な起源となったのです。
一画一画を続けずに、筆を離して書いた筆文字書体です。
横線は「打ち込み」「筆止め」が払われていてはっきりとしていて読みやすい文字のひとつです。
明確な明快で厳格な雰囲気を持つ筆文字書体として、よく使われています。
また、シヤチハタの伝統的な手書き楷書体をベースにしていて「暖かみ」や「柔らかさ」が感じられる書体となっています。
印鑑に使われる書体で、最も読みやすいのがこの楷書体です。
この書体はワープロなどにも使用されていて、すっきりとした印象を与えてくれます。
ただ、読みやすいということは、それだけ作りやすいということなので偽造もされやすい書体ということができます。そのため、認印としてよく用いられていて、逆に実印としてはおすすめできない書体です。
明朝体(みんちょうたい)
出典元:https://www.shutterstock.com
「明朝体」は書籍印刷のために誕生した書体で、中国の文字が元になっています。
中国では「宋体字」と呼ばれている文字です。
活字版印刷が大繁盛し、明治の初期はこの書体しかありませんでした。
明朝体という呼び名は、東京築地活版製造所の1892(明治25)年の見本帳以後、登場したと言われています。
明朝体は、横線が細く、縦線が太いのが特徴です。
横線の右端や、曲り角の右肩に三角形の「うろこ」とよばれる収筆部があり、また、斜めの線は、左右の「はね」と「はらい」の収筆部は細くなっています。
また、起筆部は、「打ち込み」と呼ばれる鋭角的な三角形を左側に持つことがあります。
太さに強弱があるため、明朝体を使うと読みやすく、また、きれいに再現することができます。
また、明朝体はゴシック体と反対のイメージがあり、二つを一緒に使うと文字が目立つことから明朝体とゴシック体は印刷本によく使われている書体です。
今では書体の種類も多くさまざまな書体が使われていますが、昔の本はこの明朝体とゴシック体だけで構成されていました。
現在では本文用の書体として新聞や書籍等でもっとも多く使われているのが明朝体。はんこやスタンプに小さな文字を入れたとしても、線がほっそりとしているため、たいへん読みやすく、見やすい書体です。
勘亭流
出典元:https://www.shutterstock.com
「勘亭流」は、太くうねりのあるクセのある書き文字のことを言います。
芝居や歌舞伎などの看板に使用されるものとして江戸時代後期に誕生しました。
勘亭流が初めて書かれたのは安永8年(1779年)のこと。
御家流書家・岡崎屋勘六に中村座の表看板・番附等を依頼したときに書かれ、これが大好評となったことから「江戸文字(えどもじ)」として全国へと広まっていったのです。
「勘亭流」は、威勢のいい江戸歌舞伎の感性をデザイン化したもので、「文字で観る歌舞伎」とも称されています。
文字の線が全体的に太くなっていて、すき間をなくすことで「満席になる」ということを表しています。
寄席の看板には「寄席文字」、相撲の番付表には「相撲文字」と業界によって、独自の書体が発達しているのが特徴です。
華やかなイメージを与えてくれる書体ですが、個性的な印象の書体と言えます。
そのほかの書体
出典元:https://www.shutterstock.com
・古印体
古印体は、奈良時代使われていた寺社印。日本で進化した独特の印章用の書体で、丸みがありながらもどこか優雅な雰囲気も持ち合わせています。
しかし、線の太さが均一ではなく、ところどころが欠けたようになっているため、偽造しにくいことから実印や銀行印として人気が高い書体です。
・角ゴシック体
ゴシック体の歴史は比較的浅く1880年頃からと言われていて、ゴシック体にもいろいろな種類があります。
角ゴシック体は線画が全て均一の太さに見えるようにデザインされていて、印刷では主にタイトルなどに好まれています。
また、ゴシック体は視認性が高く、遠くからでも見やすいのが特徴です。
個性的ではない書体ですが、誰からも好まれる書体です。
・丸ゴシック体
丸ゴシック体は、角ゴシック体の角や両端を丸くしたものです。丸さから優しさや温かみを印象づける書体で日常よく見る広告やチラシにもよく使われています。
活字として丸ゴシック体が登場したのは、1900年頃。線の内側ほどが細くなるのが特徴です。
シヤチハタには楷書体、行書体、隷書体、古印体、明朝体、角ゴシック体、丸ゴシック体、てん書体、勘亭流があります。書体を変えただけでもイメージが変わるので、フォントを変えてみるのも気分の転換にいいかもしれません。
知識
- VIEW:407