同じ印影のはんこを複製することは、刑法の「私印等偽造罪・私印等不正使用等罪」で禁じられています。
ですから、はんこ屋さんで同じ印影のものをつくることはできません。
持ち主は自分の実印や銀行印を厳重に管理する必要があるのです。
しかし、もしあなたがはんこを無くした場合偽造被害にある可能性は十分にあります。
今回は、はんこの偽造問題の現状から、偽造被害に合わないための対処法まで、くわしくみていきましょう。
はんこの偽造問題
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近年、電子機器技術の発達により、プリンターなどの複製機器の精度があがっています。
それによって、印鑑の偽造リスクが高まっているのです。
3Dプリンターで複製する、なんて話もあるほど。
また、「電子印鑑」も偽造問題に大きく関わっています。
電子印鑑とは、印影を画像データ化し、電子化した文書に印鑑を捺印できるようにしたもの。
電子印鑑があれば、PDFやExcelで作成されたパソコン上の書類に印鑑が捺せるようになります。
電子印鑑は、ネット上に印影がはっきりと載るので、ハッキングされたりして偽造される場合が多いです。
はんこの悪用リスク
実印が第三者によって悪用される場合、下記のことが行われる可能性があります。
・借金の連帯保証人にされてしまう
・本人名義でローンなどの借金を勝手におわされる
・本人名義で、車や不動産の購入の売却を行われてしまう
実印と印鑑証明書が第三者にわたってしまった場合、悪用される危険が最もたかまります。
実印は、印鑑証明書を同時に使用しないと、効果を発揮しません。
また、印鑑証明書の印影から印鑑を偽造されてしまう場合もあります。
はんこを紛失した場合
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もしあなたが仮にはんこの盗難にあったなど、何らかの形で紛失したとします。
既製品の認印やシャチハタは、無くしても新しいものを買うだけですみますが、実印や銀行印は書類の手続きをしなければいけません。
第三者による悪用のリスクが高まるので、早急に届け出を出しましょう。
実印対処法の手順は、以下の通りです。
1.役所で実印の紛失届けを出す
2.役所で改印届けを出す
3.警察に紛失・盗難届けを出す
まずは役所で、紛失届けを出し、印鑑証明書が発行できないようにします。
次に、新しいはんこを作った上で印鑑登録をし直します。これで初めて、前のはんこの効力が無くなります。
警察で紛失届証明書・盗難届出証明書をもらっておくと、見つかった時に自分の元に戻ってくるかもしれません。
銀行印を無くした場合も同様の処理をします。
ただし届け先が役所でなく、銀行になります。
銀行への紛失届けは電話でも受け付けています。
被害にあわないための予防と対策
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はんこを悪用されにくくするために、事前にできる予防法があります。
印鑑証明書と実印は別々に保管する
実印と印鑑証明書はセットではじめて効力を発揮します。
もし、同じ場所に保管していた場合、盗難にあった際の悪用リスクが非常に高くなります。
そのため、印鑑証明書と実印は必ず別々に保管しておきましょう。
また、通帳と銀行印にも別々に保管しておきましょう。
一緒に使うものだからこそ、別々に保管しておくことでリスクを抑えることができます。
偽造されづらい印影にする
紛失しなくても、契約書の捺印を元に実印を偽造され、悪用されるケースはあります。
そのため、偽造されづらいはんこをつくることは非常に大切です。
重要な契約に使うはんこは、手彫りのものがいいでしょう。
最近ではネット通販などで安価な実印が販売されています。
その多くは、ほとんど機械彫りです。
はんこ屋さんの中には、いちから手彫りで作っているところがあります。
プロの職人がつくる微妙な線の幅や加減は簡単に複製できるものではありません。
偽造されづらい書体で実印を作る
実印や銀行印は、可読性の低い書体が使われることが一般的です。
これは、簡単に読まれないうえに、複製もむずがしくなるため、悪用から守ることができるのです。
ここで、はんこによく使われる書体を紹介します。
・印相体(いんそうたい)
全ての文字がひとつなぎで書かれている縁起のいい書体です。
パッとみただけでは簡単に名前が判別できない複雑な作りになっているのが特徴。
運が途切れないといういわれから、一般的に実印に使われる書体です。
・篆書体(てんしょたい)
日本にある最古のはんこ「漢委奴国王の金印」にも篆書体が使われています。
篆書体はお札に使われていることから、銀行印に使われることの多い書体です。
篆書体も印相体と同様、文字のラインがとても複雑で簡単に読むことができません。
はんこを盗まれないために
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今回ははんこの偽造問題と悪用のリスクについて紹介しました。
・近年でははんこの偽造技術が高まっている。
・はんこを無くしたら警察に被害届を出す。
・被害にあわないために、実印と印鑑証明書、銀行印と通帳は別々に保管する
ということがわかりました。
はんこは個人を表す大切なものです。
厳重に保管し、使うときは大切に扱いましょう。
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