はんこと環境問題は切り離せない問題です。
森林伐採なども問題により、天然木を材料としていたはんこも、その作り方が見直されてきています。
今回は、環境に優しい印材にはどのような種類があるのかを紹介します。
また、その印材がなぜ環境に優しいのか、どのように作られているのかを詳しくみていきましょう。
はんこと環境問題
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はんこは、動物材や木材を使用する商品が多いため、環境問題を無視することができません。
環境問題が進むにつれて、天然木は今よりも貴重になることでしょう。
そんな中で、合板印材と呼ばれるエコ印材が注目を集めています。
合板印材は地球環境に優しいだけでなく、特殊な加工技術により耐久性にもすぐれているというメリットがあります。
また、人工的に植林しており、自然の天然技を伐採しないという手段もあります。
象牙の問題
はんこ印材の中でも、最高級品といわれているのが象牙。
象牙は、アフリカゾウの牙の部分から採集されています。
アフリカゾウは、年間2万頭が殺され、いまでは絶滅の危機に瀕しています。
日本では、ワシントン条約があり一部の例外をのぞいて輸入は制限されています。
それでも、中国の高度経済成長期により、象牙の需要は増えているのです。
環境に優しい印材紹介
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次に、環境に優しいエコ印材と呼ばれるはんこには、どのような種類があるのかを紹介します。
彩樺(さいか)
彩樺は、限りある木材資源を保護するために、木材と樹脂を利用して作られたエコ印材です。
天然木(真樺)と樹脂を高圧加熱処理をすることによって作りだされた、狂いや歪みヒビ割れが極端に少ない天然木の美しい木目が特徴です。
環境保全を考えられて作られているので、環境関連企業団体にも推薦されています。
また、環境に優しいだけでなく、一般の木材に比べて硬度に優れているのも特徴。
彩樺は、独特の木目が暖かさを感じさせ、色合いがきれいなので特に女性に人気があります。
玄武(黒彩樺)
玄武は、寒冷地で算出された真樺の間伐材などに、合成樹脂の一種を浸透させ、高圧加熱処理をしてつくられる印材です。
真樺は、加工性や耐摩耗性もよいので建材などにつかわれますが、耐久性が劣ります。
また、間伐材は森林の密集化を防ぐために切られた細い木で、そのままでは印材として、使いにくいという難点があります。
しかし、樹脂を浸透させて圧縮することで、一般的な印材の弱点を克服する印材に生まれ変わりました。
高圧加熱処理がされた印材は、通常の木材よりも数倍強く、伸縮およびひび割れが少なくなります。
アグニ
アグニは、北海道産の真樺を薄くスライスした単板に、フェノール樹脂を浸透させ、必要な厚みに熱圧成形した印材です。
このような処理をした木材は通常「積層強化木」と呼ばれています。
アグニは天然木の割合が6割程度しかありません。
そのため、森林の環境保全に優れた印材として、環境関連企業団体から推薦されています。
印材としては水牛系の材質に近い硬さを持ちながら、捺印性も動物性の角や牙による印鑑にも劣りません。
また、高圧処理の加工技術により、高密度な繊維質で、割れや歪みなどの変形にも強いのが特徴です。
薩摩本柘植
薩摩本柘植は、天然植物系の印材としてはもっとも、繊維がち密で、硬度や粘りがあるのではんこに適した印材です。
また、木目が綺麗なため、様々な加工製品に使われています。
おもには、櫛や将棋のコマ、そろばんの珠などです。
薩摩地方では、200年ほど前から、農家と製材業者が計画的に植林をしています。
そのため、自然木の柘植はほとんどなく、すべてが植林です。
したがって、自然破壊や環境を破壊することがなく、安定して印材の供給ができるというわけです。
薩摩本柘植は、柘の中でも最高級品であり、長い間使用してもあまり変化がないことが特徴です。
楓
楓(メイプル材)のチップに特殊な樹脂を浸透させて作り上げた印材です。
環境保全を目的として計画伐採された材料を元に作られているので、エコ印材と呼ばれています。
美しい虎目調の木目が特徴で、天然木に近い手触りを感じることができます。
重量感があり、木と樹脂により飴色で落ち着いた暖かい色合いとなっています。
自然そのままを活かしているので、同じ模様のものがありません。
また、楓は、細かい端材を人体に無害な樹脂で固める特殊技術によって、高い耐久性を実現しました。
そのため、歪みや割れなどの変形につよく、耐久性に優れています。
環境に優しい印材の選び方
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今回は、環境に優しいエコ印材を紹介しました。
本来なら処分する間伐材を、天然木と混ぜて特殊樹脂で固める合板印材。
また、生産量に合わせて植林し、天然木を伐採しないという方法も取られています。
木材以外にも動物材にも改革がおきています。
大手ECサイトである「楽天」では、象牙の取引は一切行えなくなりました。
象牙の取り扱いをなくすことで、絶滅の危機から守るという方法です。
昔こそ、はんこの王様であった象牙。
最近では、象牙の代わりに金属材のチタンが注目されだしています。
こうした環境問題によって、はんこ業界では新たな印材が開発され、人気が出てきているのです。
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