はんこ用語の意味を知って、正しく使い分けよう!

はんこ用語の意味を知って、正しく使い分けよう!

はんこと印鑑、押印と捺印、記名と署名。それぞれの言葉の意味と使い方の紹介。 2018年09月25日作成

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はんこと印鑑、押印と捺印、記名と署名。それぞれの言葉の意味と使い方の紹介。 2018年09月25日作成

はんこ、印鑑、印章、捺印、押印など・・・
はんこに関係する言葉は沢山あります。

実はそれぞれ言葉の指す意味が違い、厳密には使い方が違います。
しかし、はんこは身近なものですが、あまり知らないという方がほとんど。

そこで今回は、はんこ関連の言葉で混同しやすいものをまとめてみました。
ビジネスで役立つ言葉の違いも紹介しますので、今一度言葉の違いを理解しましょう。

TOPIC 01

はんこと印鑑の違い

出典:https://www.shutterstock.com

まずは、はんこと印鑑の言葉の違いです。
同じ意味として使われがちですが、本来は意味が大きく異なります。

「はんこ」の言葉の意味

はんこは、個人や組織がその当事者であることを証明する印(しるし)。
つまりここでいう「はんこ」は、印を押す道具のことを指します。

はんこという言葉は、江戸時代の浮世絵文化から始まったと言われています。

浮世絵は彫刻で木をけずり、そこに色をのせて紙に写す技法。
当時、浮世絵をつくることを版行(はんこう)呼んでいました。
そして、いつしか浮世絵だけでなく転写する道具のことを「はんこ」と呼ぶようになったのです。

「印鑑」の言葉の意味

印鑑は、捺印した時に紙や書類などに残る文字や絵のことを指します。

漢字にはそれぞれ「印=しるし」「鑑=かがみ」という意味があります。
そこから「しるしがうつったもの」、つまり今でいう印影(いんえい)または印形(いんぎょう)と同じ意味になります。

また印章は、富や権力を持つ人が地位を明らかにするために用いるものとして製作されたものを表し、美術品としても高い価値をもつものが多く作られています。

TOPIC 02

捺印と押印の違い

出典:https://www.shutterstock.com

上司にはんこをもらいたい時、「捺印」「押印」どちらの言葉を使えば良いのか迷ったことはありませんか?
どちらもはんこを捺す言葉として使われていますが、厳密に言えば意味が異なります。

「捺印」の言葉の意味

日常用語で使用するのが「捺印」です。
捺印は、もともと「署名捺印」という言葉が省略されてできた言葉。

また、本来捺印は自筆の記名と印鑑を捺す行為がセットになります。

「押印」の言葉の意味

法律用語として使用するのが「押印」です。
押印の元になる言葉は、「記名押印」。

ここでいう「記名」は、パソコンの文字やスタンプ、ゴム印などで記された名前を意味します。
したがって、「押印」という言葉は、自筆以外の方法で書かれた名前や役職に印鑑を捺す時に使用するのが一般的です。

捺すと押す

捺すは「捺印」、押すは「押印」。
どちらもはんこを捺す言葉としては同じですが、明確には自筆の場合は「捺す」、パソコンで打ち出された文字には「押す」という漢字をあてます。

TOPIC 03

署名と記名の違い

出典:https://www.shutterstock.com

次に署名と記名の言葉の言葉の違いについてみていきましょう。

署名と記名の言葉の違い

署名とは、本人が自筆で自分の名前を書くことです。

それに対して記名は、自筆以外で記された氏名のことで、他人による代筆や印刷された活字、ゴム印で押したもののことです。

記名と押印がセットで初めて署名とみなされ、印鑑が押されていれば自筆の場合と同じとみなされます。

効力の違いは?

以下が署名と記名の効力の順番です。
押される印鑑は「印鑑証明を添えた実印」が最も効力があるとみなされます。

1.署名(自筆)+捺印

2.署名(自筆)のみ

3.記名(印刷)+押印

4.記名(印刷)のみ

覚えておきたいのは、記名と押印よりも、自筆の署名の方が効力が高いということ。
また、自筆でなくてもはんこが押してあれば、自分の意思とみなされるというわけです。

はんこを捺すというのは、本人の意思の証。
書類をよく読まずにはんこを捺すことのないように気をつけなければいけないのです。

調印とは?

「押印」や「捺印」に関連する言葉で「調印」という表現もビジネス上で耳にすることがあります。

調印は捺印する書類よりも、さらに重要な取り決めを交わす時に用いられる言葉です。
たとえば、国同士で条約を結ぶ際や会社の代表者同士が調印を交わします。

一般的に使われることは、ほぼありません。

ですので、調印は「捺印」や「押印」とは大きく意味が異なります。

TOPIC 04

正しい敬語表現

出典:https://www.shutterstock.com

今回は、はんこの言葉の違いをまとめて紹介しました。

はんこは、印を捺す道具のことで、印鑑は紙の上にうつったものを指す言葉です。

捺印は自筆の署名に使い、押印は印刷の記名に使います。

まとめると、
「署名」の場合は「捺印」をセットで使うので、「署名捺印」。
「記名」の場合は「押印」をセットで使いので、「記名押印」。

また押印や捺印という表現はビジネスで使う場合が多いので、敬語を正しく使う必要があります。

ポイントは、「ご」を多用しないこと。
「ご署名、ご捺印の上、ご返送くださいますようよろしくお願い申しげます。」
これだとやりすぎな印象を与えてしまうので、この場合は、
「署名捺印の上、ご返送くださいますようお願い申し上げます。」
だとスマートな敬語になります。

この他にも、

・記名押印の上、ご送付をお願い致します。
・署名捺印の上、ご持参ください。

などで丁寧な文章になります。

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