三文判(さんもんばん)という言葉を聞いたことはありますか?
印鑑用語で、業界ではよく使われる言葉です。
三文判とはどういうはんこのことをいうのでしょうか。
また、その使い道とは。
今回は、三文判にまつわるすべてのことを解説していきます。
三文判とは
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三文判を一言でいうなら「出来合いの安いはんこのこと」です。
加えて、認印とは「役所で登録がされていないすべてのはんこ」のことを指します。
ですから三文判は、認印の中でも大量生産で作られたものになります。
具体的には、100円ショップや文具店で1,000円以下で買えてしまうはんこです。
昔は、印鑑は高価で身元を表すための大事なものでした。
しかし、機械化や物流の関係で、日用品は大量生産のものが主流になりました。
そこでこのような出来合いの三文判が作成されました。
三文判のいいところは「安さ」と「どこでも手に入る」こと。
出先で印鑑が急に必要になった経験はありませんか?
そんな時にも三文判は便利です。
また、今では「はんこの自動販売機」というものがあります。
これは、どんな名前でも瞬時に、全自動で印鑑を作成してくれるという優れものです。
特殊な名前で、既製品に取り扱いがない場合でも、安く早く手に入れることができます。
三文判の語源
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「早起きは三文の得」ということわざを知っていますか?
三文判は、ことわざの「三文」と同じ意味で使われています。
そもそも「文」とは、江戸時代以前のお金の単位。
今でいうと一文=30円くらいの価値でした。
そこから、三文は価値の低いものや、安いものに対してよばれるようになりました。
三文(安い)判(はんこ)で、三文判というわけですね。
三文判の使い道
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実は、登録の手続きをしてしまうと三文判でも実印、銀行印として使えてしまうのです。
ですが、三文判をそのように使うことはオススメしません。
実印、銀行印には必ず一から作成したオーダーの印鑑を使いましょう。
その理由をご説明します。
三文判の注意点
例えば、三文判を銀行印として使うとします。
ある時通帳を紛失してしまったとするでしょう。
すると、偽造が簡単にできてしまう三文判では、不正にお金を降ろされる危険がとても高くなります。
もし、オーダーの印鑑なら偽造の心配は少ないです。
ですが、三文判はメーカーの違いで、書体はほとんど変わることはありません。
思っているよりずっと偽造されやすいのです。
キャッシュカードなどもありますが、大金を下ろす場合には銀行印が必要不可欠。
そんなお金の重要な取引に、100円ショップで買えてしまうようなはんこを使うのはおすすめしません。
三文判の使い道は?
では、三文判はどういった時に使うのが良いのでしょうか。
主には公的な契約書類に使います。
家の購入やローン組みなどは、身分証明にもなる実印を使う必要がありますが、簡単な契約の場合は実印でなくても構いません。
むしろ、実印を日頃から使ってしまうと紛失のおそれがあるので、大事な時だけ使いましょう。
具体的には、履歴書や婚姻届にも三文判の印鑑は使えます。
はんこの捺印は意思表明。一度捺印すると、その契約を認めたことになる証(あかし)なので、契約書をよく読んでから捺しましょう。
シャチハタとの違い
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そして、注意しておきたいのは、契約書類にはシャチハタが使えない場合があること。
最近では、そのルールも曖昧になってきていますが、正しくはシャチハタは契約書類に捺すはんこには向きません
その理由を説明します。
シャチハタとはんこの違いは、「印面がゴムでできていること」。
よく勤務先で「契約書を書くからシャチハタ以外のはんこをもってきてね」と言われたことはありませんか?
あれは、ゴム製の印鑑は印面が変化しやすいからなのです。
シャチハタはゴムの経年劣化により印面が変わってしまう可能性があります。
契約書で印影が判断できないと困る場合があるので、シャチハタを使うことができないのです。
また、シャチハタに使われているインクにも問題があります。
本来印鑑に使う朱肉は「染料インク」。
染料インクは、紙に染み込んで定着するので紙面に向いています。
そしてシャチハタの主流は「顔料インク」
染料より速乾性がありますが、紙の表面で定着するインクです。
そのため紫外線に弱く、時間が経つと印影が薄れてしまう危険性があります。
ゴム製であること、顔料インクを使っていること、2つの点から、シャチハタを契約書類に捺すことはあまりおすすめできません。
それぞれのはんこの使い道
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実印は、ローン組みや家の購入など重要な契約の時に使います。
銀行印は、口座の開設や、お金の引き落としなど金融関係の取引に使います。
三文判は、実印以外の簡単な契約書類に使います。
シャチハタは、郵便の受け取りや、会社での認めなど、捺す頻度の高い時に使うのをおすすめします。
はんこには、たくさんの種類と名称があります。
それは、はんこにはそれぞれの使い道があり、他の用途で使ってはいけない理由がきちんと存在するからです。
100円ショップで買えるハンコといえど、認印には変わりはないので、使うときは簡単に捺すことなく、よく確認して捺しましょう。
そして、用途を理解して、使い分けることができれば、はんこはそれほど難しいものではありません。
知識
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