実印を作るには?作成から印鑑証明取得までの流れ

実印を作るには?作成から印鑑証明取得までの流れ

社会人になって必要になるのが実印。実印とはどんなものなのでしょうか。印鑑登録しなければ実印としての効力は持ちません。印鑑証明書をもらう方法とは。 2018年06月17日作成

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社会人になって必要になるのが実印。実印とはどんなものなのでしょうか。印鑑登録しなければ実印としての効力は持ちません。印鑑証明書をもらう方法とは。 2018年06月17日作成

はじめて車を買う時や住宅ローンを組む時などに、実印は必要になります。
実印って何?普段使ってる認印と何が違うの?と思う方も多いはず。
実印は、使う機会が非常に少ないので、初めはわからなくて当然です。

ですが、一生使うものであり、人生の重要なタイミングで必要になります。
実印とは何か?なぜ印鑑が必要なのでしょうか。
印鑑証明書をもらうにはどうすればいいか?
どんなことに気をつけたいか?など
実印にまつわることをご紹介します。

実印とは

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実印とは、法的な効力を持ったはんこ。
主な使い道は、以下の通りです。

・不動産や自動車の売買
・住宅ローンを組む時
・公正書の作成
(例:離婚にともない、慰謝料養育費の支払いの取り決め。お金の貸し借り。遺言書の作成など)

また、以下の印鑑は実印として登録できません。

・印面が8mm以下のもの、25mm以上のもの
・他の人がすでに登録しているもの
・ゴム印およびシャチハタ
・印影の一部がかけているもの、輪郭がないもの
・名前の他に職業・資格などが入っているもの
・名字、氏名の一部を組み合わせてあるもの

はんこには、実印の他に銀行印、認印があります。
金融関係の取引に使うのが、銀行印。
意思の表示や承認のために使うのが、認印。

銀行印・認印は役所に届け出を出す必要はありません。

また、会社を設立する時に、株式会社ならば会社の実印(代表者印)が必要になってきます。
真ん中に社名が入っていて、周りに代表者の氏名が入っているものが一般的です。
こちらも法務局で印鑑登録する必要があります。

今回は法人の印鑑登録の方法もあわせてご紹介しますね。

印鑑証明とは

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実印は、住んでいる地域の役場・役所で、印鑑登録をする必要があります。
そして、印鑑証明書をもらい初めて実印としてのちからを持つのです。

つまり印鑑証明とは、必要書類に捺された印鑑がまちがいなく本人のものであるかを確かめること。
印鑑登録されたものが本人のものであると証明するのが印鑑証明書です。

実印=信頼できる第三者と同じ立ち位置、というわけですね。

なぜ印鑑が必要なの?

日本には、印鑑登録制度があります。

これは、1873年(明治6年)に制定されたもので、重要な契約時には必ず署名と合わせて、捺印するというもの。
当時、欧米のサイン文化も支持されていましたが、中国の官印制度を見習うことになりました。
この日まで、庶民には印鑑を持つ権利がありませんでした。
これまでは天皇や武士が、その権力を表すためのものとして使用していました。
印鑑には長い歴史がありますが、一般人が使えるようになったのは最近のことです。

庶民が一人の人間として社会的に認められた記念の日とも言えます。

ちなみに、印鑑登録制度が制定された日である10月1日は「印章の日」とされ、全国で使わなくなった印鑑の供養が行われています。

つまり、印鑑を捺すことで書類の信頼度を高めているのですね。
確かに、ただ名前を書いてあるだけでは、本人が書いたのか確認がとれません。

海外ではどうしてるの?

では、はんこ文化のない海外諸国はどうしているのでしょうか。

アメリカでは、ノータリーパブリック(公証人)が第三者として契約に付き添います。
契約には必ず本人が出向かわなければいけないうえに、公証人を会社に呼ぶことはできません。
郵便局や銀行に公証人がいるので、契約の際はそこに行かなければいけません。
これは、少し厄介ですよね。

日本の印鑑制度だと、印鑑と印鑑証明書があれば代理人でも契約ができます。
また、わざわざ公証人に立ち会ってもらう必要もありません。

ちなみに、はんこに近いものが国を表すしるし(西洋名:グレートシール)です。
これは、役所が管理しています。
アメリカの、翼を広げたワシのマークをみたことはありませんか?
あのマークがアメリカ合衆国の国章(こくしょう)になります。
国や政府が重要書類に押すシールであり、一般の人が使う事はありません。

はんこ文化が欧米に伝わらなかった理由には、諸説あります。
一番は「何かを押し付けて記録をする概念がヨーロッパに存在しなかった」ことでしょう。

事実、木版画である浮世絵に対して、画家のゴッホはその技術にいたく感銘を受けました。
あるのは、手紙の封書に使われるシーリングスタンプぐらいです。

実印の作りかた

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実印を初めて作るタイミングは、自分の車を買う時が多いでしょう。
その際に知っておきたい実印の作り方を紹介します。

お店?通販?

実印を作る方法としては、お店で頼む方法とネット通販で頼む方法があります。

それぞれのメリット・デメリットを比較しましょう。

お店で頼む最大のメリットは、わからないことも店員さんが丁寧に教えてくれること。
はんこは、必要になってみないとわからないもので、最初から知識がある人はあまりいません。そういった方に、店員さんは優しく教えてくれます。

「初めてでどれがいいのかわからない」という人には、人気のものを。
「印材や開運にこだわりたい」という方には、姓名判断をして見合ったものを。

ネット通販だと、何を選んだらいいかわからない、という声が多いです。
わからないまま、安いものを頼んだら実印として使えなかった、といったケースもあります。

ですが、ネット通販は「安い・早い・種類が豊富」というメリットがあります。
もし、前もってはんこに関する知識があれば自分に最適なものを安く買うことができます。
例えば、実印をお店で買うと約5,000円かかってしまうところ、ネット通販だと半額以下になることもあります。
ネット通販だと、店舗を持たない分コストが抑えられています。
また卸業者が運営しているサイトもあり、店舗を介さない分、安くすることができるのです。

また、はんこの繁忙期は3〜4月の新生活シーズン。
この時期ははんこ業界も忙しく、お店で頼むと2・3週間かかることがあります。
もし忙しくて時間がないという方にはネット通販がおすすめです。

そして、店頭で扱いのある印材の種類は限りがあります。
印材にこだわりたいという方はネット通販を検討するのがよいでしょう。
天然素材や動物のツノ、カラフルで可愛らしいものまで品揃えが豊富です。

実印の常識

次に、実印の前知識を紹介します。
この知識があれば、実際に作るときも迷うことなく選べるでしょう。

実印の大きさは、一般的に15mm〜18mmが主流。
もちろん、印材のサイズが大きければ大きいほど値段が高くなります。
ですが、ただ大きければいいというわけではありません。
例えば、女性は男性よりひとまわり小さいサイズで作るケースが多いです。
その理由の一つとして、夫婦の印鑑を並べた時に一目でどちらのものかわかるためです。
実印を新しく作るときは、家族のサイズを確認するのが良いでしょう。

次に、書体は印相体(いんそうたい)がおすすめ。
印相体は、文字がひとつなぎになっているので、「縁のとぎれがない」と言われ大変縁起の良い書体です。
また、パッと見て文字がわかりづらいのも特徴も、偽造されづらく実印に適している点です。

ちなみに、銀行印は、お札にも使われている篆書体(てんしょたい)がおすすめです。
縁起も良いですが、実印と書体を変えると管理しやすくなります。

実印の印面は、本人の証明ですから、フルネームで彫るのが一般的。
ですが、未婚の女性に限っては結婚した時に名字が変わる可能性があるので、下の名前だけで彫るのをおすすめします。
もしフルネームで作ると、名字が変わった場合作り直さなければいけなくなります。

印材は、欠けにくくて丈夫なものを選ぶ必要があります。
プラスチックなどはあまりおすすめしません。
一般的な印材としては、木の柘植(つげ)、牛のツノの黒水牛(くろすいぎゅう)、象のツノの象牙(ぞうげ)、チタンなど。
象牙は希少価値が高く、チタンは重量感があるなど、印材によって値段も特徴も違いがあります。
予算に合ったものを選びましょう。

また、「開運印章」というものもあります。
これは、自分の生まれ年から、一番縁起の良いとされる印材を選ぶというもの。
今では簡単に検索して調べることができるので、興味のある方は頭に入れておくのが良いでしょう。

印鑑登録〜印鑑証明書取得までの流れ

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実印を作り終えたら、役所で印鑑登録をします。

1.実印を用意する。
印鑑はお店で頼むと約2週間はかかります。急いでいる場合はネット通販がおすすめです。
印鑑登録する際はオーダーで作ったものを使用しましょう。
既成品の印鑑は登録できない可能性があるので、注意が必要です。

2.身分証明書を用意する。
身分証明書として使えるものは以下になります。

・マイナンバーカード(通知カードは使えません)
・写真付きの住民基本台帳カード
・免許証
・パスポート
・外国人登録証

注意したい点は、健康保険証は身分証明としてつかえないこと。
つまり、顔写真が入っていないと身分証の役割がもてないというわけですね。
免許を持ってない方は、マイナンバーカードをつくることをおすすめします。
顔写真さえあればインターネットからでも作成可能です。

3.市役所・役場で印鑑登録。
混んでいなければ5分〜10分で登録ができます。
混雑をさけるために月曜日以外の平日の午前中に行くことをおすすめします。
登録が完了した際に印鑑登録カードがもらえます。

4.印鑑証明書発行申請。
こちらも所要時間は5分〜10分。
必要な枚数分もらいましょう。先ほどの印鑑登録カードと引き換えになります。
手数料が数百円かかります。

5.取得。
これで、実印として使うことができます。

印鑑登録〜証明書の取得までの時間は不備がない場合、20分ほどでしょうか。
もちろん不備がある場合は受付してもらえませんので、後日改めて役所に行く必要があります。
そうならないためにも、事前にきちんと実印と身分証明書を用意しておきましょう。

代理人による申請

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本人がどうしても、印鑑登録に行けない場合、代理人による申請が可能です。
その方法も合わせてご紹介します。

1.印鑑登録申請書を記入し、役場に印鑑と一緒に代理人が持って行く。
申請書はホームページよりダウンロードできます。

2.確認のための書類が、本人の元に届く。(照会文書)

3.各書類などを持って、代理人が役場に提出

・本人が照会文書に記入した回答書
・代理提出の委任状(照会文書の中に一緒に同封されています)
・本人の身分証、登録する実印
・代理人の身分証
・代理人の印鑑(認印で良い)

あとは、本人申請と同じような流れで取得できます。

法人の印鑑登録

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次に会社で使う印鑑の登録方法をご紹介します。
会社の実印(代表者印)も証明書が必要なときがあります。

1.法務局で印鑑登録をする
法務局(本店の所在場所を統括する登記所)で行う。
例えば、愛知県事業所でも大阪に本店があれば、大阪で申請をする必要があります。

2.法人用の代表者印を用意する
代表者印に使用できる印は、一片が1〜3cmの正方形に収まるものと決められています。(商業登記規則第9条第3項)
代表者印と呼ばれることから、代表者の印と勘違いすることがありますが、会社の実印は、あくまで会社のもので代表者の印ではありません。

会社設立印3点セット(実印・銀行印・角印)だとお得に作成することができます。
また、ゴム印の住所印も合わせて作っておくと便利です。

3.印鑑届出書に必要事項を記入して、法務局に提出する。
本人が申請する場合には、印鑑届出書と実印が必要になります。

4.印鑑カード発行申請
今後、印鑑証明証を発行するのに印鑑カードが必要です。
印鑑カードがあれば、全国どこの登記所でも印鑑証明書を取得することができます。

5.印鑑証明証交付
印鑑カードがあれば、郵送やインターネットでも証明証の交付ができます。

印鑑登録する時に気をつけたいこと

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実印を作る〜印鑑証明取得までは、一見大変だと思いがちですが、流れを把握していれば意外と簡単なことがわかります。

・実印を作る
・役場に行き、身分証明証を提示し、印鑑登録カードを作る
・そのまま印鑑証明証を発行する

要点はこの3つです。
たとえ自身が行けなくても、委任状をかけば代理で印鑑登録もできます。

実印もただ闇雲に安いところで作るのではなく、きちんとよく理解した上で作りましょう。
実印は縁起物であり、一生物。
だからこそ愛着をもってつかえるようなはんこを作りたいものですよね。

最後に、印鑑登録に関して気をつけておきたいことを紹介します。

印鑑登録は本人の住民票がある役所にて申請を行います。
ですから、住民票を移動すると以前の印鑑登録は無効になってしまうのです。

この時、以前に行った契約自体はそのまま有効ですので大丈夫です。

また、新しい住所で登録する時は、以前と同じ印鑑で登録ができます。

引っ越しをした時は、転入届、住民票の移動とともに、印鑑登録を済ませておきましょう。


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